看護系の大学編入、社会人入試
大学編入、社会人入試については、別項で説明してきました。ここでは、看護系の大学編入、社会人入試などについて、説明します。
- 看護系編入とは
- 看護系編入の試験内容
- 看護系編入の試験時期
- 看護系社会人入試とは
- 専門学校か、大学か
- 大学社会人入試の注意事項
- 看護専門学校の社会人入試、学士入学、準学士入学など
- 看護系編入・学士編入・社会人入試で共通していること
看護系編入とは
まず、看護系編入です。別項でみてきたように、一般的な編入試験では、多くの場合、大学卒業、大学在学、短大・専門学校修了(見込)者が、同じ大学学部学科を受験できまず。しかし、看護系は異なります。看護系の編入では、すでに看護師資格を取得している、あるいは看護専門学校3年に在学し取得予定の方だけに受験資格がある3年次編入が一般的です。看護系大学在学者に受験資格を認める大学はごくわずかですし、看護系大学卒業(見込)者には受験資格がありません。看護系以外の大学在学者や大学卒業者は残念なことでしょう。
ただし、数は少ないのですが、看護以外の大学卒業(予定)者に対して道を開いた、学士編入を実施大学は存在します。具体的には、聖路加国際大学、慶應義塾大学、それに京都大学です。中でも聖路加国際大学は学士編入の歴史が長く、2017年度からはそれまでの2年次編入から学士3年次編入制度に変更しました。看護教育は最低3年かかる(短期大学・専門学校)というそれまでの常識を変えたのです。ただし、他大は現在も2年次編入です。一方で、以前、2年次学士編入を実施していた北里大学看護学部は、逆に学士入試として大学1年からの入学に変更しています。卒業までに4年かかるということです。
看護編入の試験内容
なお、看護系出身者を対象とした3年次編入と学士編入では試験内容が異なります。大学にもよりますが、前者は一般的に、英語・看護学・面接で、専門科目が入ります。専門科目の内容は看護師国家試験タイプの選択式から記述式まで、大学で異なります。学士編入は英語・小論文・面接です。ただし、両者ともに、英語はTOEIC・TOEFLなどの語学検定の成績を提出させて、英語試験の代わりにすることが多くなっています。何年か後に 受験する予定であれば、まずは、その対策からしておくことをお勧めします。
看護編入の試験時期
看護系出身者を対象とした3年次編入と学士編入ともに、試験時期は他の理系学部と 同様に早く、9月には終わります。また、出願期間が試験日より1ヶ月も早いことがありますから、早めの情報収集及び受験準備をお勧めします。
それぞれの試験についての詳細、大学ごとの注意事項は、これからブログであげていきますので、参考にしてください。
看護系社会人入試とは
高校卒業の資格で受験ができる社会人入試は、一般入試の受験に高いハードルを感じるこれから看護師を目指す社会人の方にとっては、チャンスと言えます。多くの場合、試験内容が、小論文・面接であることも魅力です。ただし、特に大学の社会人入試では、英語を出題したり、TOEIC・TOEFLなどのスコア提出を課すこともありますし、現役生を対象としたAO入試と同じ試験を課すことがありますので、各大学ごとに情報収集が大切です。
専門学校か、大学か
社会人の方が、まず考えるのは、大学の社会人入試を受けるのか、専門学校を受けるのかということでしょう。多くの大学、専門学校がが1年生から入学する社会人入試を実施しています。
まず、大学は卒業までに4年かかり、経済的にも時間的にも、セカンドキャリアを目指す皆さんにとっては大きな負担です。一方、看護専門学校は3年間、学費も私立大学に比較すると割安です。大学を卒業している方は、聖路加国際大学の学士編入で合格すれば就業年数が2年間で、これは専門学校の3年よりも短くなります。ただし、学費は2年であっても400万円を超えます。大学を卒業しているから、看護は専門学校でもよいと考える方も多いでしょう。一方、高校卒業だから、看護は大学に行きたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
それでは看護大学を卒業することのメリットは何でしょうか。まず、看護師課程を終えたのが大学か、専門学校かで、看護師になったときの給与が異なります。看護以外の大学を卒業していても、専門学校修了の給与となりますし、また、臨床現場で看護研究に取り組めるのは、看護大学卒業者のみとする病院、新卒は大学卒業者を中心に採用する病院もあります。キャリアアップを考えると、大学卒業者が有利であることは否めません。実際、日本看護協会では、「これからの社会・医療に対応できる看護師を育成できるよう、看護師基礎教育の4年制化の実現に取り組んでいる」としています。
ただ、これは本人の考え方次第です。キャリアアップよりも患者さんのために貢献したい、資格を得ることでライフワークとして長いこと仕事に就ければよい、結婚、子育てなど、ライフスタイルの変化にあわせて、さまざまなかたちで働きたいと考えるのであれば、今は病院に限らず、多様な現場で専門職である看護師を求めており、短時間での勤務も可能です。看護師不足が解消しない中、看護師は転職をしても次の仕事が決まりやすい職業でもあります。
大学社会人入試の注意事項
看護大学での社会人入試には、注意が必要です。たとえば、東京都立大学の社会人入試は、学士のみが受験できます。社会人経験が1年以上あり、看護師の国家試験を有しない、そしてTOEFLのスコアを提出できることも条件です。また、上智大学総合人間科学部の社会人入学試験の場合は、社会福祉学科は高校卒業でも受験できますが、看護学科は大学卒業者のみで、3年以上の実務経験と大学が定めた語学検定試験の基準を満たすことが求められます。社会人入試と言いつつ、実際は学士入学試験だと言えます。
また、一般的に大学の社会人入試で言えることですが、受験資格である年齢、実務経験年数は大学によって異なります。たとえば千葉大学は、高校卒業で受験可能ですが、年齢が25歳以上、実務経験4年以上、それに大学が定めた語学検定試験の基準を満たすことが受験資格となっており、ハードルが高いと言えます。一方、地方の国立大学には、もっと受験しやすいところもあります。ブログで紹介していきたいと思います。
試験内容は小論文・面接が一般的ですが、小論文に英語の読解を含むこともあります。過去問題には要注意ですね。
看護専門学校の社会人入試、学士入学、準学士入学など
看護専門学校の社会人入試について、昨年度、令和6年度の都立看護専門学校の受験資格を例にあげてみます。
(1)は、高校卒業資格があることです。(2)以下に注目して下さい。
(2)卒業後、看護師として都内に就業する意思がある者で、合格した場合は、辞退せず入学することを確約できる者
(3)令和6年3月31日までに25歳に達する者(平成11年4月1日以前に生まれた者)
(4)次のアとイのいずれかに該当する者
ア 令和5年4月1日以前から引き続き都内又は隣接4県(埼玉、千葉、神奈川及び山梨県)に住所を有する者〔住所要件〕
イ 令和5年4月1日以前から引き続き都内又は隣接4県(埼玉、千葉、神奈川及び山梨県)で就業している者〔就業要件〕
(2)、(3)が特徴的です。都内で就業する意思があること、都内または隣接4県に住んででいるか働いていること。都立看護専門学校は、確実に東京で看護師として貢献する受験生を求めているわけです。都立だけではなく、県立、市立などの公立校では、試験要項には謳わなくても、卒業後にその地域で看護師として働くことを受験生に期待しています。医師会立の看護学校もそうです。また、大学の附属、大学病院のグループである看護学校、病院附属の看護学校なども、その病院で働く看護師を育てるために看護学校を設置しているところがあります。もちろん、修了後に出身学校とは関連のない病院に就職することも可能ですが、受験校について調べたり、選択するにあたっては意識しておいた方がよいでしょう。
また、専門学校にも、慈恵看護専門学校のように社会人入試ではなく、学士のみを対象とした大学卒試験を実施するところがあります。昭和大学医学部附属看護専門学校では、学士・短大学士選抜入学試験を実施し、社会人入試はありません。東京警察病院看護専門学校は、大学・短期大学推薦入学試験と社会人入試の両方を行っています。専門学校の試験実施状況はさまざまです。社会人の場合は、経済的、時間的な理由から通勤しやすいところで、看護専門学校を選ぶ方もいます。一般入試の偏差値ランキングを参考にして、興味ある学校をピックアップしたり、通学可能な範囲の地域で探して、その学校がどのような試験を設置しているか、調べてみましょう。たとえ一般入試しか実施していなくても、試験科目が小論文・面接だけの学校であれば、社会人入試実施校との併願も可能です。
看護系編入・学士編入・社会人入試で共通していること
出願時に提出する志望理由書は面接の資料となり、合格に向けて重要です。これはどこの大学・専門学校でも同じです。看護入試では、なぜ看護師をめざすのか、動機や意欲がみられます。これは進学先での学びがそのまま看護師という仕事に直結する看護という分野の大きな特徴と言えます。大学や専門学校は、看護師という専門職を養成する機関であることが共通しているのです。以前、ある国立大学の社会人入試を受験した社会人学生から聞いたことですが、その大学ではグループ面接を実施したため、他の受験生がどう答えるのか、聞く機会がありました。その方は、「なぜ看護師か」という質問に対して、熱意 や意欲を持って回答しました。ところが一方で、「食いっぱぐれがないから」と答えた 受験生がいて、驚いたそうです。もちろん、その人は、合格していなかったそうです。
面接を甘く見ない、その資料である志望理由書にしっかり取り組む、それが自身の看護 師になりたいという意欲の確認となり、最後まで強い意志で受験に取り組む力となるのです。